2024/05/30 08:49

  

  


  内面に深くはいりこんでいったら

  いつのまにか

  宇宙に拡散してしまった

  がらんどうのような声だけの世界の

  無意味な音のつらなりの霧の中から

  いつしか形をなして

  すうっとたちあがったそれが

  ゆっくりと流れて

  音楽がみちてくるのを

  ただずっとみていたいと思うのです。




私は「声」が好きです

自分のも、他人のも、です。

話し言葉も音楽のように聴いてしまう。

地方の温泉で地元の人同士が話す

その土地独特のリズムやメロディを

お湯に温まりながら盗み聞きするのが好きです。


今拠点にしている高知県の田舎では

裏の山や近くの田んぼで

いつも誰かが歌っています。

小さな鳥の囀り

大きな鳥の囀り

アマガエル ツチガエル シュレーゲルアオガエルトノサマガエル 

鹿の呼ぶ声 「Gyaoou!」という持ち主不明の雄叫び 。

風が揺らすそれぞれの葉っぱの合奏

雨が降る音は遠くで近くで遠近法で聞こえる。

屋根からは雨垂れが不規則なリズムで遊ぶ。

そしてそれらが溢れて山を流れる音。。


もう一つの拠点故郷東京の団地に今います

音は建物に反響して

リバーブがかかって増幅して行きます。

遠くの人の話し声がうんと近くで聞こえ

子供の雄叫びが

建物の間をグワーンと回ります。

車の通り過ぎる音も増幅されて

音の周りに倍音を絡みつかせて。

そのノイズの中で

都会に住む小鳥が近くで「チッチ」となく声だけが

生々しくノンエフェクトで

鋭く侵入してきました。


人の声の話に戻ります


声が形作る言葉よりも

声そのものを聴いてしまいます。

そこに含まれた人の心やありよう。

すぎてきた時間の中で形作られてきたその人の声は

どれも味わいがあります。

年老いた人のものには本当に惹かれる。

今はやっと

自分の声だけで作品をつくることができたところですが

次はたくさんの人の声を使わせてもらって

作品を作りたい、と思っています。